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サヨナラ満塁ホームラン

子供の頃、一年に一回くらい野球を観に行った。
小学校時代だったから、父に連れられてである。
父は、なぜか大洋ホェールズのファンであった。
ある日、その父に連れられて巨人×中日戦を見に行った。

当時、私は、どこかのファンということはなかったが、巨人の城之内投手が好きであった。あの、独特のフォームからの投球がカッコヨカッタ。

その日は、城之内投手が先発。途中まで巨人がリード、こちらはニコニコである。
と、父が
「帰ろう。」と言い出した。駅が混む、電車が混むというのである。
もっともなことなので、帰ることになった。
もう試合も決まったようなものである。

中日球場から名鉄中日球場前まではそれなりの距離があった。
歩き出して、しばらく進むと、人がそれなりに歩いてる。
あとから考えれば野球観戦をしていた人たちの考えることは、ほぼ同じだったのである。
駅に着くとやはり混んでいた。それでも、電車に乗ることは乗れた。

電車の中では、誰かが未練がましくなのであろうか、ラジオの実況を聞いていた。
どうやら、中日のチャンスであるらしい。
ひときわラジオの声が大きくなり「ホームラン」の声。
逆転サヨナラ満塁ホームランの声。
何やらすごいことが起こったらしい。

だが、そこに私はいなかったのでる。

野球ファンの記憶に残る試合はそうあるものではない。
今にして思うと、目の前にあったのに、逃した。
やはり、多少のリスクを侵さなければおいしい思いはできないのである。